乳がんホルモン治療中の「太りやすさ」とどう向き合う?
- info3408915
- 10月29日
- 読了時間: 3分
① はじめに:体型の変化に戸惑う気持ち
乳がんの治療を続ける中で、「太りやすくなった」「食べる量は同じなのに体重が増える」と感じる方は少なくありません。ホルモン治療は大切な治療の一つですが、体の代謝や水分のバランスに変化をもたらすため、体重が増えやすくなることがあります。
でも、「体が変わった=自分の努力が足りない」ではありません。体を守るために治療をしている、その中で“今の自分に合った”ケアを見つけていくことが大事です。
生活習慣を見直すだけでも、体重が減少していく方もいらっしゃいます。
② なぜ太りやすくなるの?
ホルモン治療で使われる薬には、女性ホルモンの働きを抑えるものがあります。
それによって以下のような変化が起こります:
基礎代謝が少し下がる(筋肉が落ちやすくなる)
水分をためこみやすくなる(むくみ)
気分の変化で甘いものが欲しくなることも
また、運動量が減ることも重なり、体重が増えやすく感じやすいのです。
ただし、これは「自分のせい」ではなく、体が治療に反応しているサイン。責めずに、少しずつ体を整える方向へ戻していきましょう。
③ 食事の工夫:無理をせず“整える”
・夜は炭水化物を控えめにして、たんぱく質と野菜を意識。
・お菓子などは減らしたいですが、どうしても食べたい時は、「食べる量」
「時間帯」を工夫。量を半分にするとか、夕食後は避けるとか。
・間食するなら、ナッツ・ゆで卵などを選ぶと血糖値が安定。
・朝食でしっかり体を目覚めさせると、代謝が上がりやすくなる。
一番のポイントは、「減らす」ではなく「整える」こと。“頑張る食事”より“続けられる食事”が、体を守ります。
④ 無理のない運動で代謝を支える
「体を動かすのが怖い」「疲れやすくて続かない」という声もよく聞きます。
そんなときは、強い運動でなくて大丈夫。
1日10分のウォーキング
やさしいヨガやストレッチ
体の中心(体幹)を整える軽い筋トレ
小さな運動を続けるだけで、血流が良くなり、むくみも軽くなります。
筋肉を動かすことが、心のバランスを整える時間にもなります。
⑤ 医師・栄養士・運動専門家と一緒に
ホルモン治療中は、無理なダイエットを避けることが大切です。
当施設の乳がん患者さん向けのフィットネスでは、
・治療の内容を理解したうえで運動を提案
・管理栄養士の食事指導
・体調に合わせた負担の少ないプログラム
・食事や体重の変化も医師・栄養士と共有
一人で抱え込まず、チームで整えていくことで、体も心も安心して変わっていけます。
🕊まとめ
ホルモン治療中の体の変化は、“失敗”ではなく“反応”です。
焦らず、少しずつ整える。日々の中でできる工夫を積み重ねていけば、必ず体は応えてくれます。今日の一歩は、体を守るためのやさしい習慣づくりです。
福岡県糟屋郡新宮町 乳腺外科クリニック併設 「予防スタジオヒポクラベース」
理学療法士 田中啓一郎





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